裏 窓 特別編:超大吉旅日記その1

北大東島のビアガーデン
なんか、寂しくないかい・・・・?



ダルマの切り身
迫力ありすぎ!コワイ!!



ダルマの刺身
恐ろしい食べ物であろうコトが想像できる。
パセリとか添えたらもう少し優しそうに
みえるかもなのに・・・・・。



超大吉くんは旅人である。吉祥寺には、旅の合間に時々現れる。
彼は2003年暮れに、東京のすみかを引き払って沖縄県大東島に旅立った。
製糖工場で働きながら、探検の日々を過ごし、つい最近吉祥寺に戻ってきた。
友人知人のお世話になりながら、久々の都会(吉祥寺だけど)の生活を満喫したのち、次の旅の準備のため、ただいま実家に帰省中。
そんな彼がメールで、楽しい楽しい旅のお話を聞かせてくれるもんだから、「裏窓特別編」として、超大吉旅日記を掲載しようと思います。
今回は連載1回目。不定期ですが、時々気にして読んでみてね。
それでははじまりはじまりー!

超大吉くんのことはこちらからも>>
超大吉旅日記その2はこちら>>
超大吉旅日記その3はこちら>>


超大吉旅日記 その1  by のりお(別名:超大吉)


東京を一時離れ実家で暮らす僕に、ある日一通の小包が届きました。
北大東島の知り合いからの小包。知り合いといっても、南大東島から船で那覇に戻る途中立ち寄った北大東島の小さなビアガーデンで、たまたま一緒にビールを飲んだだけですけどね。
彼から送られてきた物体それは、南の島から届いた海の香りする絵葉書と星の砂、なんてロマンチックなものではなくて、販売禁止の幻の深海魚『インガンダルマ』、という怪しい代物だったのです。

販売禁止のその理由というのは、「刺身で三切れ以上食べるとお尻の穴から油が出る」からで、要するに人間の腸では吸収しきれない、ワックスのように細かい油が身に含まれているから。
ある資料によるとロウソクと同じような成分で、ワックスエステルによるワックス型食中毒というらしく、僕はまだ出したこと無いけど大東島では多くの場合、腹痛も無く気づかないうちに出る、らしいです。
正式和名は『バラムツ』。
全身真っ黒で体長は大きくなると3メートルに及びます。身はイカの刺身みたいに真っ白で、こりこりと弾力があり、僕はかんぱちに異様に油が乗ったような味だと感じています。
刺身だまりに身を浸すと、すぐに細かい油の粒子がさっと広がります。
その昔九州だかどっかでうっかり学校で給食に出してしまい、それを食べた生徒の尻から油が出て大騒ぎになり、それで現在は販売を厳しく禁止され、捕れたときだけ島の中で振舞われてます。
ホント、妙な魚です。でも、思えば僕が南大東の旅行を決意したのはこの魚のことをある本で見て知り、「それは現地で食べてみないわけにはいかない」と直感したから、なんです。
つまりこの魚は僕と南大東島を結びつけてくれた、恩のあるお魚様なのです。

それにしても5キロも送ってこなくても。どうするんでしょうか、これ。
「よーし、じゃあお前の実家に送ってよこしてやる。」
・・・僕は酒の上でのただの冗談だと思っていたのに、本気だったとは。
電話の向こうで奥さんが「食べるときは気をつけて、おしめでもしてたべたらいいさー。」横で送った張本人の旦那さんがガハハと笑って、「近所に内緒で分けたら、面白いことになるはずよー。」
うーん。
症状は人によって差があるらしく、僕も島でよく食べましたが一向に平気でした。
ちょっと悔しいので、ここ二三日、毎日刺身でガンガン食べています。
南大東のある人は三日三晩食べ続けてようやく出したとか。今回の人体実験、どうなることやら。ともあれ、この島の魚ひとつ取っただけでもこれだけ変てこということで、南大東島というところは実に変てこな島でして、当然今回の僕の旅もとっても変てこな旅となりました。
その変てこな旅の思い出を、この場を借りて少しおすそ分け。
大東島に渡る前日の出来事から、書いていこうと思います。

(norio wrote 2004 May)

超大吉旅日記その2>>

裏窓本編はこちらから>>

copyright1997-2003(C) Kichijoji web mgazine. All rights reserved.